様々な種類の動物の革があり、色んな商品に利用されていることをどれほどの人が知っているでしょうか?
ワニの革は、艶が美しく、重厚感のある雰囲気が人気で、さまざまな製品に使われています。牛革にワニの革の模様を型押しするデザインがあることを考えるとその人気がうかがえます。
一般にワニ革であればクロコダイルと呼ばれることが多いですが、実際にはワニの種類によって呼び名が異なります。
この記事では、ワニ革の特長やお手入れ方法について、知ることができます。
【ワニ革とは?】
ワニ革は、エキゾチックレザーの一種で、大変人気がある革素材です。
エキゾチックレザーとは、珍しい動物の皮革を使用した革のことを言います。希少性が高く独自の模様を持つ皮革の総称です。ほかには例えば、トカゲ革、ヘビ革などがあります。
ワニ革として使われるワニは、ファームと呼ばれる養殖場で育てられたワニです。世界の様々な国が養殖によって育てたワニの皮を輸出しており、その取引量は年間100万枚にも上っています。
ワニには世界で20種ほどの種類がありますが、その内ワニ革として利用されているのは5種ほどです。
近年では、加工技術が発達し、鮮やかな色彩のものや、デザインの商品があります。
ワニ革の魅力は、高級感とその存在感です。
【ワニ革:4つの特長とは?】
ワニ革は、その凹凸のある表情、輝くようなツヤ、まさに高級品ですよね。
高級ブランドでもたくさん扱われている革です。
では、ワニ革の◆◆つの特徴を、見ていきましょう。
1.希少性が高い
ワニ革で作られた製品を見るとほんとに値段が高いですね。
なぜ、ワニ革で作られたものは値段が高くなるのでしょうか。
A.需要と供給のミスマッチ
現在、ワニ革の製品を使いたいという需要に対して、ワニ革の供給量が追い付いていない状況です。
ワニ革として利用されているワニはファームという養殖場で育てられていることは先に書いてあります。野生のワニはワシントン条約で保護対象になっており取引できないからです。
また、ワニの生育は早くなく、ワニ革として使える大きさになるまで早くても3年ほどかかってしまいます。
養殖場を運営する上で重要なのが完全養殖の体制です。そのことを考慮すると、ワニが産卵できるようになるまで10年ほどかかってしまいます。
ワニの成長は時間がかかるため、供給が追い付かないのです。
B.ワニ皮からワニ革への加工が難しい
1.にあげたようにワニ皮自体の供給が少ないのですが、さらに皮から革へのなめすという加工に特別な技術が必要です。
ワニ皮をなめすことができる業者が世界で20社ほど、日本に6社ほどしかありません。この数字から牛革の加工に比べどれだけワニ皮の加工が難しいか想像できますね。 鞣し業者が少ない為、おのずとワニ革の供給量も少なくなっています。
C.ワニ革の加工も難しい
ワニ革の特長の一つでもあるその凹凸が縫製を難しくしています。誰でも縫製できるといったものではなく、熟練の技術が必要になります。
2.丈夫
ワニ革は、革の中で一番の流通量の牛革と比較すると、繊維構造が緻密で、とても耐久性の高い革です。
ワニ革のアイテムは、定期的なお手入れにより、10年、20年と愛用することができます。一生ものですね。
3.お手入れが簡単
革製品全般にいえることですが、水にぬれた際にはすぐに柔らかい乾いた布で拭きましょう。
革によっては、水を即吸収してしまうものもありますので、革のシミや色むらができにくいというのは大きなメリットです。
財布やバッグの持ち手など、手に触れるアイテムは皮脂が知らず知らずのうちに蓄積し、黒ずんできます。毎日、柔らかく乾いた布で拭いてあげたり、柔らかい毛のブラシでブラッシングを軽くするだけでも随分と良い状態を保つことができますので、ぜひトライしてみて下さい。
4.ワニ革の経年変化について
革製品の所有の醍醐味である経年変化、エイジング。深みのある色つやが使用に伴い現れます。植物タンニン鞣しで仕上げた革は、経年変化するので楽しいです。
クロム鞣しで仕上げた革は、経年変化しないので、使用に伴い変化していく様を楽しみたい方にはお勧めしません。一般に、安い革製品はクロム鞣しと思ってもらっていいです。
【ワニ革には4種類ある】
ワニ革になるワニは大きく分けて3種です。
クロコダイル
アリゲーター
カイマン
型押し
それぞれの特長についてみていきましょう!
1.クロコダイル
ワニ革の中でも、クロコダイルは、最高級の革です。
上にも書きましたが、野生のクロコダイルを捕まえてはいけないので、クロコダイルで作られたアイテムはほぼ養殖です。
一口にクロコダイルといっても実は4種あります。
スモールクロコダイル:イリエワニ
ラージクロコダイル:ニューギニアワニ
ナイルクロコダイル:ナイルワニ
シャムクロコダイル:シャムワニ
それぞれ革の特徴が異なりますが、1.のスモールクロコダイルは、きめ細かいエレガントな模様から、クロコダイルの中でも最高級のワニ革と言われています。
クロコダイルには穿孔という穴がある
クロコダイル革の特徴的なデザインとして穿孔があることがあげられます。
穿孔とはクロコダイルの感覚器官の穴です。
クロコダイルか他のワニかを見分けるには、鱗板の穿孔の有無によって見分けることもできるのです。鱗板とはクロコダイルの1枚1枚の鱗のことを言います。
クロコダイルには穿孔がはっきり開いているもの、いないものと個性があるので、穿孔の有無だけでクロコダイルか否かを判断することは難しいです。
2.アリゲーター
アリゲーターは、クロコダイルとほとんど見た目が変わりません。
日本ではワニ革は一般にクロコダイルと呼びますので、アリゲーターと聞くとクロコダイルよりも安いワニ革という認識にもつながってしまっています。
しかしながら、アリゲーターはナイルクロコダイルよりも高値で取引されていたりと高級品です。アリゲーターの実際の取引量で言うと世界で年間50万枚ほどで、世界一使用されているワニ革と言えます。
アリゲーターには、クロコダイルの感覚器官の穿孔はありません。
3.カイマン
カイマンは、バビラスやカイマンワニ、石ワニとも呼ばれまs。
主に腹の部分のうろこに、硬い部分があります。これは、カルシウム成分が沈着してできたものです。
その為、加工するにも綺麗な仕上がりにはなりません。なので、カイマンはわき腹、背中部分の革が良く使われています。
このためアリゲーターは、クロコダイルやアリゲーターよりも安価なワニ革として使用されています。
ワニ革の入門として、カイマンのアイテムを使ってみてはいかがでしょうか。
4.型押し
型押しとは、牛革や豚革などにワニ革のかたちを型押しして作った革のことです。
近年では、型押しの技術も上がり、型押しのアイテムが市場に溢れています。一見クロコダイルの本革と見間違うほど精巧なものもあります。
型押しのレザーは牛革や豚革が使われていることもあり、品質が悪いわけではないですが、クロコダイル革ではなく、偽物と言えます。
ワニ革:革として使う場所によって呼び名が異なる
ワニ革は、背中と腹側で大きくデザインが異なります。
その為レザーシートの段階で、背中側をカットして腹側をメインで使うバックカットと、腹側をカットして背中側メインで使うフロントカットとかあります。
バックカットを胎(はら)ワニ、フロントカットを背ワニと呼びます。
腹の部分は、ソフトな感触を楽しむために使われることが多く、背の部分はごつごつとしたワイルドな印象を楽しむために使われています。
【ワニ革:本革と型押し革】
トカゲ革には、トカゲ革を利用した本革のものと、牛革などに型押しをしたトカゲ革に模した革があることは上で簡単に書きました。
この2つの見分け方を見ていきましょう。
1.品質表示を確認する
ワニ革を使用した本革の品質表示には、ワニ革、クロコダイルなどワニに関する情報が記載されています。
一方、型押し品の表示には、革、本革、レザーなどと表記されています。 もしも品質表示にワニに関するものがない場合は、型押しと考えましょう。
店員さんに聞いたり、電話で確認すると安心ですね。
2.外観で判断する
革に詳しい方でしたら、ツヤや模様を見れば本物か型押しか判別できるでしょう。 近年、型押しの技術は向上しており、革に詳しくない方には判別するのが難しいです。
簡単な見分け方のひとつは、模様が均一か否かは一つの判別基準です。
本革だと1匹ずつ鱗の形が違います。そのため、模様は均一にはなりません。
模様がどのようについているかをチェックすることで、ワニの本革か型押しなのかを判別できることもあります。
クロコダイルの場合は穿孔の有無が判断材料の1つにもなりますね。
【ワニ革:6つのお手入れ方法】
ワニ革は、とても丈夫な革です。お手入れがも簡単な革です。 定期的なお手入れで、革の品質と美しさを保ちましょう。
1.日々のお手入れ
普段のお手入れはたまに乾いた柔らかい布で汚れやホコリを拭く程度で十分です。
力を入れてゴシゴシ擦るのではなく、優しくなでるように拭きましょう。大体の革製品と取り扱いは同じですね。もちろん馬毛や山羊毛ブラシでのブラッシングでも良いです。
汚れやほこりを拭いたり、ブラッシングするだけで、革の状態に違いが現れますので日々実践してみましょう。
ブラッシングで落ちる汚れもありますが、落とせないガンコな汚れもあります。
せっかくの持ち物の見た目も悪くなりますし、革のひび割れの原因にもなりますので、早めに取り除きましょう。
2.汚れが革のひび割れを起こす理由
革に手入れが必要なのは、時間の経過につれ、革が乾燥してくるためです。
革が乾燥すると、革のしなやかさが失われて固くなり、水や汚れのダメージを受けやすくなります。その結果、革の質を落としてしまうことになります。
それを防ぐ為に保湿クリームを塗るのですが、汚れが付いていると、うまく浸透しなくなります。同じクリームを塗るのですから、汚れを落とし、クリームの効果がしっかり発揮されるよう、汚れはすぐに落とすのが良いです。
3.ワニ革の汚れの落とし方
用意するものは、馬毛ブラシ、豚毛ブラシ、乳化クリーム、ワックスクリーム、そして乾いた布の6点。
下記手順に従って、定期的にメンテナンスができると良い革の状態を保ちつつ、美しい経年変化を楽しむ事が出来ます。
馬毛ブラシで、埃や汚れを落とす。
革用クリーナーを布に少量取り、汚れをやさしく取り除いていく
綺麗な布で、余分なクリーナーをふき取る
栄養を与える乳化クリームを綺麗な布で、薄く伸ばしていく
豚毛ブラシを使って全体を優しくブラッシングし、余分なクリームを取り除く
ブラッシング後は、風通しの良い場所で一日ほど寝かせる(自然乾燥)
艶出し用のワックスクリームを乾いた布で、全体に薄く伸ばすように円を描きながら塗り込んでいく
豚毛ブラシで丁寧にブラッシングし、余分なクリームを取り除く
定期メンテナンス終了
4.水に濡れた時のお手入れ
ワニ革は、水に弱く加工方法によっては水シミになる可能性があります。
購入した際に防水スプレーを吹きかけておくと安心です。防水スプレーを使用しても、水にぬれた際にはすぐに拭き取りましょう。
防水スプレーはフッ素系のものを使います。そうすることで革の通気を邪魔しません。
一般に、革は熱に弱いです。濡れたからといってドライヤーで乾燥させたり、直射日光で乾燥させたりしないように注意しましょう。
最悪の場合、固くなったりひび割れなど、革の性質が変わったり傷んだりしてしまいます。
陰干し、自然風での乾燥が基本です。アイテムによっては、形崩れ防止の為新聞紙を詰め込むといいですね。
5.ワニ革のお手入れ時の注意
オイルレザーなら、少しの水は弾きますが、シミや水ぶくれの危険があるのでとにかくすぐ拭きます。
ドライヤー・ストーブ・直射日光などの、高温にも弱いです。
革が耐えられる温度を超えると、最悪の場合変形してしまい、元に戻ることはありません。
クリーナーと保湿クリームは、一緒に使います。
クリーナーは、汚れとともに革の油分や栄養も落としてしまいます。
特に洗浄力が強いものは、革にダメージを与えます。
とはいえ、保湿クリームは、カビの原因になるので塗りすぎないようにします。
6.カビが生えた時のお手入れ
革の鞄にカビが生えてしまった経験はありませんか?
湿度の高い場所や、風通しが悪い所に置いておくと、カビが生えることがあります。
主に白カビで、ある程度であれば簡単に落とせます。
水気を硬く絞った布で、カビだけを拭き取り、よく乾かした後に保湿クリームを塗ってください。
乾拭きやブラッシングで取り除くとカビの胞子をとばしてしまい、他のアイテムに付着してしまいますので注意します。
ワニ革の特徴とお手入れ方法についてのまとめ
ワニ革のアイテムは大変高価ですが、メンテナンスをすれば10年20年と使えるものです。お気に入りの一品を見つけてください。
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