レザーといえば、まず初めに思い浮かぶものは牛革ですよね。
様々な種類の動物の革があり、色んな商品に利用されていることをどれほどの人が知っているでしょうか?
豚の皮から作られた革は、ピッグスキン(豚革)と呼びます。
この記事では、豚革(ピッグスキン)の特長やお手入れ方法について、知ることができます。
【豚革:ピッグスキンとは?】
ピッグスキンは、牛革の次に多く使われている革です。
豚皮は、日本で多くつくられていて、飼育から製造まで国内で安定的に供給できるため、豚革のアイテムはほぼ国産です。ピッグスキンは、他の革と違って、輸入に頼る必要がなく、さらには輸出まで行われています。日本の豚革は海外からの評判も良く、日本の革製品の中で唯一といってい輸出品です。
ピッグスキンはの価値が低いとされていたのは今は昔。今ではその軽さ、丈夫さ、通気性の良さなどの素材としての使いやすさで、アパレル製品などに多く使われています。最近ではブランドも豚革に注目し、使うようになったほどです。
ジャケットやコート、手袋や帽子、靴、小物などのファッションアイテムのみならず、旅行用のトランクなどの丈夫さが重要な箇所にも使われています。
ちなみに、皮にはスキンとハイドという2つの呼び方があります。ハイドは25ポンド以上ある厚くて大きく重い皮、スキンは薄くて小さく軽い皮やまた爬虫類や魚類の皮も含めて呼び、区別されています。
【豚革:ピッグスキンの特長とは?】
革と言えば牛革と言えるほど、牛革は一番流通の多い革です。
豚革は、牛革に次ぐ流通量の多い革です。
ピッグスキンの6つの特長を見ていきましょう。
1.通気性が良い
ピッグスキンには3本そろった毛穴があります。3つの毛穴が開いているため、とても通気性が良いです。その為、長期保管していると生えてしまいがちなカビも生えにくいのです。
しかしながら、この3つの毛穴が気になる人は気になります。この毛穴を見れば一目で豚革と分かり、それゆえピッグスキンは価値が低いと言われていました。
2.薄くて軽い
革の中で一番の流通量の牛革と比較すると、ピッグスキンは薄くて軽いのも特徴の一つです。
理由は、ピッグスキンは、表皮の下がすぐに脂肪になっており、皮から革への加工をするとほぼ銀面だけの厚みにしかできないからです。
3.丈夫
ピッグスキンは、丈夫な一面もあり、こすったくらいでは傷がつかないです。
ラグビーぼーつも豚革でできていることが多いです。ラグビーボールに使用されるなんて、ピッグスキンの耐久性に疑問など湧いてきませんよね。
普段使いのアイテムで、傷がついてしまうことを過度に気にする必要がなく、革の中では非常に使いやすいことが特長の一つです。ピッグスキンは、カジュアルに使い倒すならベストな選択となります。
4.お手入れが簡単
革製品全般にいえることですが、水にぬれた際にはすぐに柔らかい乾いた布で拭きましょう。中でも、ピッグスキンは、水や汚れが付いても、すぐに柔らかい布で拭けば落とせる場合が多いです。
革によっては、水を即吸収してしまうものもありますので、革のシミや色むらができにくいというのは大きなメリットです。
財布やバッグの持ち手など、手に触れるアイテムは皮脂が知らず知らずのうちに蓄積し、黒ずんできます。毎日、柔らかく乾いた布で拭いてあげたり、柔らかい毛のブラシでブラッシングを軽くするだけでも随分と良い状態を保つことができますので、ぜひトライしてみて下さい。
5.加工がしやすい
ピッグスキンは、固い革に、柔らかい革にもできます。さらには半透明にしたりと、ファッション分野のアイテムとの親和性が高く、似たようなデザインになりがちなレザーアイテムですが、ピッグスキンを使えばデザイン性のあるアイテムを製造できるようになります。
豚革のデメリットは、使用する部位により革の質が大きく異なる点、また育成環境や豚自身の性格によって、皮に傷が多くなるという点です。
傷も一つの味として楽しめるようになれば、あなたも革マニアです。
6.経年変化
革製品の所有の醍醐味である経年変化、エイジング。深みのある色つやが使用に伴い現れます。植物タンニン鞣しで仕上げた革は、経年変化するので楽しいです。
クロム鞣しで仕上げた革は、経年変化しないので、使用に伴い変化していく様を楽しみたい方にはお勧めしません。一般に、安い革製品はクロム鞣しと思ってもらっていいです。
【豚革:2種類のピッグスキンとは?】
実は、ピッグスキンには2種類あります。その2種類の各々の特長や製造方法を見ていきましょう。
1.ピッグスエード
ピッグスエードは、クロムなめしで加工され、床面をサンドペーパーででこすり起毛加工した革のことです。
豚革は、牛革よりも繊維が細かいので、ピッグスエードは、手触りが滑らかで、高級感があります。豚独特の3つの毛穴模様も目立たなくなるため、人気のある仕上げです。
2.アメ豚
ピッグスキンの中には、タンニンなめしという加工をして ツヤのある美しいアメ色の革肌に仕上げた革があります。アメ豚と呼ばれていますね。
アメ豚の鏡のような光沢は、色付けした後にワックスをたくさん塗って、ガラスのローラーでこすり上げて仕上げます。
牛革の高級品にカーフスキンがありますが、それと並ぶ高級革です。つるつるして光沢のあるものを選びたい方はアメ豚がオススメ。
【豚革:ピッグスキンのお手入れ方法】
ピッグスキンは、丈夫で耐久性がある革です。お手入れが簡単な革です。
定期的なお手入れで、革の品質と美しさを保ちましょう。
1.日々のお手入れ
普段のお手入れはたまに乾いた柔らかい布で汚れやホコリを拭く程度で十分です。
力を入れてゴシゴシ擦るのではなく、優しくなでるように拭きましょう。大体の革製品と取り扱いは同じですね。もちろん馬毛や山羊毛ブラシでのブラッシングでも良いです。
汚れやほこりを拭いたり、ブラッシングするだけで、革の状態に違いが現れますので日々実践してみましょう。
ブラッシングで落ちる汚れもありますが、落とせないガンコな汚れもあります。
せっかくの持ち物の見た目も悪くなりますし、革のひび割れの原因にもなりますので、早めに取り除きましょう。
2.汚れが革のひび割れを起こす理由
革に手入れが必要なのは、時間の経過につれ、革が乾燥してくるためです。
革が乾燥すると、革のしなやかさが失われて固くなり、水や汚れのダメージを受けやすくなります。その結果、革の質を落としてしまうことになります。
それを防ぐ為に保湿クリームを塗るのですが、汚れが付いていると、うまく浸透しなくなります。同じクリームを塗るのですから、汚れを落とし、クリームの効果がしっかり発揮されるよう、汚れはすぐに落とすのが良いです。
3.ピッグスキンの汚れの落とし方
用意するものは、馬毛ブラシ、豚毛ブラシ、乳化クリーム、ワックスクリーム、そして乾いた布の6点。
下記手順に従って、定期的にメンテナンスができると良い革の状態を保ちつつ、美しい経年変化を楽しむ事が出来ます。
馬毛ブラシで、埃や汚れを落とす。
革用クリーナーを布に少量取り、汚れをやさしく取り除いていく
綺麗な布で、余分なクリーナーをふき取る
栄養を与える乳化クリームを綺麗な布で、薄く伸ばしていく
豚毛ブラシを使って全体を優しくブラッシングし、余分なクリームを取り除く
ブラッシング後は、風通しの良い場所で一日ほど寝かせる(自然乾燥)
艶出し用のワックスクリームを乾いた布で、全体に薄く伸ばすように円を描きながら塗り込んでいく
豚毛ブラシで丁寧にブラッシングし、余分なクリームを取り除く
定期メンテナンス終了
4.水に濡れた時のお手入れ
ピッグスキンは、水に弱く加工方法によっては水シミになる可能性があります。
購入した際に防水スプレーを吹きかけておくと安心です。防水スプレーを使用しても、水にぬれた際にはすぐに拭き取りましょう。
防水スプレーはフッ素系のものを使います。そうすることで革の通気を邪魔しません。
一般に、革は熱に弱いです。濡れたからといってドライヤーで乾燥させたり、直射日光で乾燥させたりしないように注意しましょう。
最悪の場合、固くなったりひび割れなど、革の性質が変わったり傷んだりしてしまいます。
陰干し、自然風での乾燥が基本です。アイテムによっては、形崩れ防止の為新聞紙を詰め込むといいですね。
5.ピッグスキンのお手入れ時の注意
オイルレザーなら、少しの水は弾きますが、シミや水ぶくれの危険があるのでとにかくすぐ拭きます。
ドライヤー・ストーブ・直射日光などの、高温にも弱いです。
革が耐えられる温度を超えると、最悪の場合変形してしまい、元に戻ることはありません。
クリーナーと保湿クリームは、一緒に使います。
クリーナーは、汚れとともに革の油分や栄養も落としてしまいます。
特に洗浄力が強いものは、革にダメージを与えます。
とはいえ、保湿クリームは、カビの原因になるので塗りすぎないようにします。
6.カビが生えた時のお手入れ
革の鞄にカビが生えてしまった経験はありませんか?
湿度の高い場所や、風通しが悪い所に置いておくと、カビが生えることがあります。
主に白カビで、ある程度であれば簡単に落とせます。
水気を硬く絞った布で、カビだけを拭き取り、よく乾かした後に保湿クリームを塗ってください。
乾拭きやブラッシングで取り除くとカビの胞子をとばしてしまい、他のアイテムに付着してしまいますので注意します。
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